2020年1月22日水曜日

都図研研究局大会授業レポート

第58回都図研大会(南多摩大会)が、
2019年12月13日に、稲城市立城山小学校で開催され、

都図研研究局では、2本の授業を公開した。


6年生「光を感じて」
授業者:清水一成(足立区立竹の塚小学校)

  
 その日は曇り…。教室の前には、自然光の差し込む窓がずらりと並んでいる。その窓から、子供達は光を感じる…。白色の様々な種類、大きさの紙を使用して、「透ける」ことに子供たちは向き合う。
 障子紙を窓の貼りたい場所に貼る。一人では貼れない大きさだから誰かと一緒に貼る。心が動く…。些細な色の違いを感じながら子供達は活動を始める。窓の近くに行ったり、離れてみたり、色々な場所から自分の行為の軌跡を確認する。子供たちの心が静かに動いている…。静かな時間が流れている…。友達との話し声も自然と聞こえてくる。普段何気なく存在している窓(教室も含めた空間)が、その日は子供たちにとって特別なものになっていた。


4年生「バンド∞ランド」
授業者:金垣 洋(国分寺市立第六小学校)

 導入で授業者がロールになっている紙バンドをどんどん引き出すと、子供たちから「わー!」「長~い!」と歓声があがった。活動の序盤、子供たちは試行錯誤しながらも、少しずつ紙バンドの手応え、加工の多様さを味わっていく。次第に生まれてくる形には、線の美しさが表れていた。その線材で作られた形と、4年生の想像力が合わさって、それぞれの「バンド∞ランド」のイメージが広がっていく。

 1人で自分のイメージに没頭する子、グループでアイデアを出し合いながら表現する子、公園のジャングルジム、遊園地の観覧車、町の中の線路などなど、それぞれの子が材料や友達と関わり、心を動かしながら表現に向かっている姿が見て取れた。


 協議会の中で講師の西村徳行先生(東京学芸大学 准教授)、楚良浄先生(世田谷区立玉川小学校 指導教諭)からは次のようなお話をいただいた。

●授業をつくって行く中で、魅力的な材料に出会ったのでその材料にこだわってみるが、上手くいかないこともある。今日までこだわっていたものを、明日別のものに変えてみるというのが授業をつくっていく大きな原動力になる。これが日々の向上心につながっていく。
●鑑賞するところが両授業ともあった。聞きたいポイントがあるのであれば、見る視点を伝えるべきだと思う。見たいと思う言葉、語りたいと思う言葉を大切にしたい。
●都図研研究局は次の図工をつくっていく局だ。私の希望では、「今の図工でない図工をもっと打ち出すこと」ことと、今日の授業のように「普通の授業の中で、同じように見えるけれども意味が違うということをおさえていく」という両方を発揮して欲しい。
●子供の心が動く前に先生方の心が動いている、だから今日の授業が展開されたのだと思う。これからも新しい授業を提案して欲しい。